#7「高倉と俺」
高倉は俺の親友である。
巨根のたかちゃん、みなさんもご存知ではないだろうか?
身長は165cmぐらいで、足が短く、床屋の息子なので髪型は無駄にオシャレ、これが高倉である。
ちなみに目が悪く、メガネを付けている。
そんな高倉と俺が仲良くなった話を今日はしようと思う。
清聴してくれ。
高倉は高校のクラスメイトだった。
手先が器用で引っ込み思案、積極的にコミュニケーションを取ろうとしないタイプで、まさしく陰キャといった感じだ。
自分の欠点を埋めるために陽キャに振舞っていた俺には、高倉はまったく魅力的には映らなかった。
むしろ、内向的な彼が嫌いだったかもしれない。
入学してからしばらくは高倉と話すことがなく過ぎていった。
そんな高倉とたまに話すようになるのは、美術の時間がきっかけだった。
高倉とは高校の選択授業で美術選んでいた共通点が有り、彼の席は俺の斜め後ろだった。
後ろでずっとカリカリ絵を描いていて、振り返ると絵をガバッと隠す。
なんで隠すのかと聞くと、恥ずかしいからと答える。
高倉は絵が上手い。
こう、隠したのは謙遜とかじゃなくて、自分を発信することを恐れている、評価されることを恐れている、そんな感じだった。
高校時代の俺には、それが少し嫌味に見えた。
それから俺は、美術の暇な時間に高倉に話しかけてイジるようになった。
そんな高倉と、俺はたまに一緒に帰るようになった。
高倉は剣道部だったが熱心では無く、顔を出すのは週一回か二回位だった。
俺も帰宅部だったので、下駄箱かなんかで会うと、そのまま駅まで一緒に話して帰ったりした。
高倉はよく笑う。
話して分かるが相当なゲラだった。
しょうもない悪ふざけをする俺にゲラゲラ笑う高倉。
俺は、高倉との会話が心地よくなっていた。
ある日、エロゲーの話題になった。
スライムの女の子が主人公の下半身を飲み込んで喘ぐ。
エロゲーでこんなシーンがあって疑問を持った俺は、それを高倉に話して意見を求めた。
高倉は少し考えた後に、そのエロゲーのタイトルを言った。
驚く俺。
実は俺も持ってるんだよねと高倉が笑った。
多分、そこが友情の始まりだったと思う。
高校卒業して友達と疎遠になる中、今も高倉とは月一くらいで遊んでいる。
最近になってようやく高倉が絵を見せてくれた。
やっぱり上手い。
そう褒めると、高倉が恥ずかしくなったのか絵を取り返す。
なんだか悪くない気分だった。
気持ち悪い男の友情の話。
今日の自分語りはここまで。
最近LINEを無視してくる高倉、許さない。
それでは。